不動産投資の物件に自分で住むのはOK?リスクヘッジとして考えるのは要注意!

不動産投資の物件に自分で住むのはOK?リスクヘッジとして考えるのは要注意!
この記事で解決できるお悩み
  • 不動産投資での購入物件に自分で住むことは可能なの?
  • 不動産投資のリスクヘッジとして自分で住むという対策は正しいの?
  • 不動産投資での購入物件に自分で住むメリットはある?
ワイパカ

こんな悩みを解決できる記事を書きました。

不動産投資でサラリーマンから独立し、専業の不動産賃貸業をしています。

今回紹介する「不動産投資の物件に自分で住むのはOK?リスクヘッジとして考えるのは要注意!」を読めば、不動産投資の物件に対して、自分で住めるかどうか、住んだ場合のリスクを理解できますよ!

まずは結論として、自分で住むことがOKなの?という疑問に回答しているので、ぜひ読んでみてください。

目次

不動産投資の物件に自分が住むことは可能!だけど、賃貸した方が絶対に得

結論として、不動産投資の物件に、自分が住むことはできます!

他人に住んでもらうことはできるのに自分は住めないっていうのは、ルールとしておかしいですよね。

ですので、そんなルールはありませんし、自分が住むこと自体に問題はありません。

でも、不動産投資物件に自分が住めるかどうかを気になったので、このページを訪れてくれたのだと思います。

では、不動産投資の物件に自分で住むというのはどういうケースかと考えると、以下の2つのケースがあると思います。

  1. 購入後の空室対策の選択肢として考えた
  2. その物件がとても気に入った場合の選択肢として考えた

おそらく、多くの人は項番1を想定しているのではないかと思います。

というのも、項番1は不動産投資がうまくいっていないケース、項番2は不動産投資がうまくいっているケースだからです。

空室対策として自分で住むという選択肢は正直おすすめできません。

とは言っても、「空室で家賃収入がないなら、自分が住んでしまった方が損失が抑えられるのではないか」と考えているのではないでしょうか。

不動産投資の最大のリスクは空室であるため、空室対策を検討するということは非常に良いのですが、その選択肢として「自分が住む」というのは、かなりリスクがありますので、その部分を理解しておくことが重要です。

そして、自分で住むということは結果的に損となるケースが多いです。

不動産投資物件に自分が住む4つのリスク

自分が住むという選択肢は、不動産投資物件に入居者がなかなかつかず、空室期間が長期間になってしまうことを想定しると考えます。

その場合は、家賃や入居条件を下げてでも入居者を付けるか、損切り覚悟で売却するかのどちらかがよいです。

理由は、自分で住むという選択肢は4つのリスクがあるからです。

その4つのリスクを解説しますので、選択肢として考えている方は理解していただいた方が良いと思います。

なお、不動産投資物件といっても、区分マンションや戸建と一棟ものではリスクが異なりますので、リスクごとにそれぞれのケースを説明します。

下記の各リスクを読んでいただけるとわかりますが、自分で住むという選択は結果的に損な選択となってしまいます。

1:家賃収入がなくなる

区分マンション・戸建の場合
  • このリスクが一番大きい
  • 家賃収入がゼロになるため、当初の返済計画が大きく崩れる

収入が途絶えるのは1番のリスクです。

多くの場合、不動産投資ローンを活用して購入していると思いますが、ローンの返済には家賃収入を加味して計算していたと思います。

もちろん、入居者の入れ替わりも想定されるためある程度の空室率も加味していると思いますが、自分が住むと家賃収入がゼロが確定してしまうので、当初の計画が大きく崩れてしまうはずです。

ずっとではなく一時的に住むということも考えられますが、その場合においても家賃収入が入らないことは変わりません。

自分が住む間に賃貸募集するという案も考えられますが、住居を探している人は、現地を見てから決めるという人が大半のため、自分が住んでいる間に決まるということは難しいでしょう。

自分が住んでいる間に次の入居者が決まるような人気物件であれば、そもそも空室対策としての自分が住むという悩み自体が発生しないはずです。

一棟ものの場合
  • 家賃が数戸分の1減少のため、収入はゼロにならない
  • 複数戸空室になっても、自分が住めるのは一室のみ

一棟ものの場合、区分マンション・戸建と大きく異なるのが、家賃収入がゼロにならず数戸分の1が減少するだけで済むという点です。

例えば10戸ある一棟アパートと仮定した場合、 収入が9戸/10戸とゼロというのは、精神的なプレッシャーが全然異なります。

数戸分の1の収入が減少してもローン返済は問題にならないでしょう。

2:金融機関の許可が必要になる可能性あり

区分マンション・戸建の場合
  • 不動産投資ローンの使途変更による契約違反の恐れ

不動産投資ローンは、家賃収入がある前提でのローン審査をしています。

そのため、自分が住むことにより家賃収入がなくなってしまうとなると、契約違反という判断をされてしまう可能性がないとは言えません。(金融機関によっても判断が変わるところ)

契約違反となると、ローン残債全額をすぐに返済してくださいということになります。

とはいえ、自分で住む場合、今まで住んでいた家賃分がなくなるはずなので、その分を収入をみなせば、トータルではあまり収支は変わらないことになることが多いため、上記のような契約違反となるケースはほぼないと思います。

ですが、そのリスクが絶対ないとは言えないため、リスクを受容できない場合は、事前に金融機関に許可をとりましょう。

ただどちらにしても、次の物件の融資というのはほぼ絶望的となりそうです。

金融機関としても、不動産投資ローンは、事業としての融資となるため、あなたの事業計画能力や経営能力に疑問符がつくからです。

不動産投資を続けていきたいという場合には、厳しい選択肢ですね。

一棟ものの場合
  • 特になし

一棟ものに関しては、金融機関に許可を取る必要はないですね。

というのも、数戸分の1の自己利用であり、全体の利用割合からしても使途変更しているという理屈は難しいからです。

金融機関としても、数戸分の1の自己利用で融資が焦げ付くとは考えにくいですし、金融機関にとっては金利が利益となるため、あえて融資を引き上げるメリットもないからです。

そのため、金融機関への許可も不要と考えます。

ただし、金融機関に自分の住所を提示するときに、購入物件と同じだと理由を聞かれる可能性はあると思います。

その際の理由はしっかりと用意しておくべきでしょう。

例えば、その街が気に入ったところ、住むにあたっては自分の物件が一番条件が良かった、とかです。

決して後ろ向きな理由(入居者が決まらない、など)を伝えてはいけませんよ!

3:住宅ローンへの変更は困難

区分マンション・戸建の場合
  • ローン使途が異なるため、変更は不可
  • 住宅ローンの方が不動産投資ローンよりも条件が良いのに活用できない
  • 床面積が40㎡以下であれば、そもそも住宅ローンの対象外

不動産投資ローンで物件を購入している場合、自分で住む場合は非常に損していることとなります。

自分で住む場合には住宅ローンが使えますが、不動産投資ローンよりも圧倒的に条件(金利、期間など)が良いからです。

住宅ローンが使えなければ、住宅ローン控除も使えないこととなりますので、税金含めたトータルの収支を考えますと、非常にもったいない選択となります。

一棟ものの場合
  • そもそも住宅ローンが使えない

住宅ローンは自分で住むための住居に使えるローンとなるため、そもそも一棟もの物件は対象外です。

4:減価償却による節税が使えない

区分マンション・戸建の場合
  • 自分で住むと不動産投資物件がなくなるため、減価償却費の経費計上ができない

不動産投資物件であれば、「事業」という位置づけとなるため、減価償却費といった経費の計上が可能でしたが、自分で住む物件となれば、減価償却費のような経費は計上できません。

入居者がいても、減価償却費やその他の経費で赤字として節税をしていた場合であれば、そのようなメリットが使えなくなります。

一棟ものの場合
  • 事業用としての戸数があるため、減価償却などの経費計上は可能

一棟ものの場合は、あくまで一部の自己利用ということになるため、基本的には経費計上も今までと変わりありません。

経費の中身によっては、一部経費の按分が必要となるケースが出てくると思いますが、全体から見れば大きな影響はありません。

不動産投資物件に自分が住まないためにできること

ここまで不動産投資物件に自分で住むことのリスクをご紹介しました。

結論として、自分で住むことのメリットはほとんどないものの、不動産投資を始めて退去者が出て、空室期間が長期化してしまうと、やはり焦ってしまい、自分で住むというような選択肢が出てくるのではないかと思っています。

不動産投資物件に自分で住むことを検討する本質としては、空室リスクへの対策となりますので、そもそも空室になりにくい物件を購入することが本質的な対策となります。

本質的な対策について、以下に2つご紹介します。

1:賃貸需要のある物件を選ぶ

物件のあるエリアに賃貸需要があることが重要です。

どんなに低廉な家賃を提示しても、住みたい人がいないエリアであれば、入居付けには難航します。

賃貸需要はどのように判別するかというと、まわりにマンションやアパート、住宅はあるか、ということです。

商店やスーパーなどのお店や小学校、中学校などがあるということも非常に大きなポイントとなります。

賃貸需要があるエリアであれば、空室はそれほど怖くはありません。

生活に必要な設備が整っていることが全体ですが、賃料を下げれば住みたい人は必ず出てきます。

もちろん、賃料を下げるということは利回りや売却価格に影響してくることになりますので、安易に下げるべきものではありませんが、賃料を下げればいくらでも入居付けはできると思えることは、精神的な安定につながります。

収入の最低ラインや損失の最大ラインがわかれば、底なしの恐怖とはなり得ないです!

マンションが賃貸需要のないエリアに建っていることはほとんどありませんが、一棟アパートや築古戸建などはそのようなケースがありますので、賃貸需要は必ず確認してください。

2:売却しやすい物件を選ぶ

賃貸需要とともに重要なのが、売却のしやすさです。

売却しやすい物件とは以下のような物件です。

売却しやすい物件
  • ローンが出る物件
  • 現金で購入可能な規模感の物件
  • (区分マンションの場合)40㎡以上の物件

ローンの出る物件とは、耐用年数以内であり、違法建築ではなく、未登記の増築部分もなく、再建築が可能な物件です。当然ある程度の土地値もあることが望ましいです。

不動産投資物件はローンを活用して購入する人が多いため、金融機関からローンを受けられない物件は、購入できる人が限られてくるため、価格も下がってしまう傾向にあります。

現金で購入可能な規模感としては、感覚的に2,000万以下くらいですかね。

それより高くても現金で購入する方はいらっしゃいますが、数が少なくなるため、やはり小規模物件の方が売却しやすいです。

あとは区分マンションならではですが、広さが40㎡以上の物件です。

上記でも少し触れましたが、40㎡以上あると住宅ローンが活用できるため、購入希望者が不動産投資家だけではなく、実需(自分が住むために買う人)にも広がるからです。

もちろん、不動産投資物件を購入するからには、ある程度の期間は保持して、家賃収入を得ていった方が良いわけですが、不測の事態に備えて、売りやすい物件であるということは、リスクヘッジにつながってきます。

物件からの家賃収入はあるが、将来的に自分が住みたいケース

不動産投資物件に自分で住むことを考える人は、これまで説明してきたように、空室のリスク対策として考える人がほとんどだと思いますが、稀にその物件が気に入ってしまったため将来的に自分で住みたいと考える人がいます。

自分で住むこともできるため、その選択肢としてはあるのですが、注意しなければならないケースがあります。

1:入居者がいると退去させることは困難(借地借家法の制限)

家賃収入があるということは、入居者がいるということになりますが、いくら自分の所有物件だからといって、入居者の方に自分の都合だけで出て行ってもらうことはできません。

理由は、借地借家法という法律があり、一般的には貸主よりも借主が保護されることになります。

そのため、貸主の都合で退去してもらうことは困難なのです。

そして、借地借家法において、借主、貸主、それぞれからの退去を申し出るルールが決まっています。

借主の場合

民法では、借主からはいつでも解約の申し入れができると規定されています。

賃貸借契約の途中であっても、解約を申し出ることは構いません。(民法第618条)

貸主の場合

貸主から賃貸借契約の途中で解約を申し出る場合、「正当事由」が必要と規定されています。

借主保護の観点から契約内容においてこの規定を排除することはできません。(借地借家法第28条、30条)

ここでいう「正当な事由」であるか否かは、貸主が建物の使用を必要とする事情のほか、今までの状況、建物の利用状況や現況、立退料の支払い等を総合的に考慮して判断されます。

貸主が自分が住みたいという理由だけでは、正当事由に該当しないのです。

もし、どうしても自分が住みたいということであれば、入居者との調整・交渉となります。

例えば、入居者に対して引越し費用や数ヶ月分の家賃などを退去費用として支払うなど、入居者に対して退去になって納得してもらう必要があります。

参考として、民放第618条、借地借家法第28条、および、第30条を以下に記載します。

民法618条

当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定(各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる)を準用する。

借地借家法第28条

建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

借地借家法第30条

この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。

不動産投資物件に自分で住むという選択肢は考えない方が良い

これまで述べてきたように、不動産投資物件に自分で住むということは、おすすめできません!

空室対策のリスクヘッジとしては、自分で住むというのはあまり良い方法ではなく、むしろトータルとしては損をしてしまうことになる可能性が高い方法です。

特に区分マンションにおいては現実的な選択肢として考えない方が良いですし、一棟ものの物件であっても、家賃を下げて入居付けをしたほうがトータルとしてはお得となります。

最後にご紹介した内容をおさらいしておきましょう。

不動産投資物件に自分で住むのはトータルで損となる
  • 自分で住むことは空室対策の現実的な選択肢にはならない
  • 不動産投資ローンよりも住宅ローンの方が圧倒的に有利なため、自分で住む物件には住宅ローンを活用する
  • 空室対策に悩まないように、賃貸需要のある物件、売却しやすい物件を選ぶ

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